2021.12.21 Tue Q&A回答のページ

Q44

痛みがある場合、そこにあまり負担をかけない方が良いのか、それともあまり大事にし過ぎずに少々動かす方が良いのでしょうか?

A

私たちにとって、リウマチ患者さんから最も聞かれることが多い質問です。

まず、痛みにはいくつかの種類があり、一つには、火傷の直後や、リウマチの炎症期に現れるような、「健常な組織を傷害、あるいは侵害刺激が加わったため生じる痛み」で、侵害受容性疼痛と呼ばれております。

この痛みは「危険から身を守る警告系として役立つ」ので、薬物療法等の効果が出るまでの間は、装具固定や自助具活用などで安静を保つことが大切ですが、温熱・寒冷・電気刺激など痛みの治療に合わせて、治療的な運動療法も必要です。

また、リウマチ炎症期の治療に反応せず、痛みが長期・難治化すると「痛みの悪循環」、特に骨・関節・筋肉などの身体を支えたり動かしたりする「運動器」に、筋力低下・筋萎縮・関節運動制限・浮腫などの「廃用症候群」を引き起こし、さらに心理・社会的な要因も病態形成に加わることで、日常生活活動や「人生の質(QOL)」の低下に陥りやすいのです。痛みが長引いているときには、家事や労働を一生懸命行うことは推奨できませんが、ゆっくりと体重をかけて、トイレ動作や整容動作などの日常動作をするような運動を推奨いたします。しかし、2~3日行って痛みや熱感が増悪する場合には中止してください。

一方、痛みを感じると、脳から痛みを抑えるという反応が起こりますが、不安や怒りなどの強力な精神的ストレスを受けると、痛みを抑える脳の機能の働きが弱まり、ちょっとした刺激でも強い痛みを感じるようになってしまいます。

このような痛みは運動療法の適用となります。運動療法によりガンや認知症の予防にもなることも徐々にわかってきていますが、その適量や強度など、詳細な効果などについては未知の領域なので、炎症反応が安定しているときや、関節の腫脹や熱感の所見がない時には、「痛いから出来ない」「痛みさえなければ…」と思い込んだりせずに、前述の運動や、外出や談話など「痛み以外の視点」での行動をして、「(痛いけど)できた!」「(このような工夫で)家族に褒められた!」、などの達成感を得ることが望まれます。

そのためには、お互いが、特別のことではなく、「若々しくなったね」「服が似合うね」「予定通りできたよ」など、褒め合うことが大切ですね。

(回答:清水兼悦先生)