2021.12.21 Tue Q&A回答のページ

Q18

生物学的製剤にはTNF阻害薬と非TNF阻害薬の2種類あるそうですが、どちらが一般的なのでしょうか?

A

生物学的製剤は大別してTNF阻害薬と非TNF阻害薬に分けられます。そもそもTNFとは腫瘍壊死(癌細胞をやっつける)因子と呼ばれるサイトカインで、関節リウマチをはじめとする炎症性の病気に関与することが知られています。なお、非TNF阻害薬にはIL-6(インターロイキン-6)阻害薬とT細胞共分子阻害薬があります。本邦では、2003年にTNF阻害薬であるインフリキシマブ(レミケードR)が最初に登場し、その後2005年エタネルセプト(エンブレルR)、2008年アダリムマブ(ヒュミラR)、トシリズマブ(アクテムラR:非TNF阻害薬)、2010年アバタセプト(オレンシアR:非TNF阻害薬)、2011年ゴリムマブ(シンポニーR)、2013年セルトリズマブ・ペゴル(シムジアR)、2018年サリルマブ(ケブザラR:非TNF阻害薬)と登場しており、TNF阻害薬がやや歴史が長く、種類も多いため、TNF阻害薬を使用している割合がやや多い傾向にあります。しかしながら、TNF阻害薬が効かない、あるいは効果が減弱した場合、TNF阻害薬が使えない場合に、非TNF阻害薬が優位になることもあります。また日本リウマチ学会(2020年)および欧州リウマチ学会(2019年)の治療ガイドラインでは、TNF阻害薬、非TNF阻害薬ともに同列に扱われており、患者さんの状態、ライフスタイルに合わせて選択することが可能となっています。必ずしもTNF阻害薬が一般的というわけではないと考えられます。 

(回答:古崎章先生)