2021.11.26 Fri Q&A回答のページ

Q3

脚の発疹は数年前からあり、尋常性乾癬と皮膚科で診断されていました。幸い乾癬は悪化していません。しかし、1年前から両手首が痛くなってきてリウマチではないかと思い、リウマチ科を受診しました。担当の先生は、「関節リウマチに似ているが、乾癬性関節炎であると思う」とのことです。そしてリウマチの薬がでています。乾癬性関節炎もリウマチの一種と聞きました。どのような病気ですか?また、治療法について教えてください。

A

乾癬性関節炎(PsAといいます)は、代表的なリウマチ性疾患の一つです。乾癬の皮膚症状(特に尋常性乾癬が多いのですが)が先行し、それから、関節症状が発症することが多いとされています。しかしながら、関節症状が先に出現することもあります。また、皮膚症状の重症度には関係なく、関節症状が強くでてくることも多いです。恐らく担当医は、乾癬の皮膚症状があることを見抜いて、かつ、PsAに特徴的なリウマチ症状があることに気付いたのではないでしょうか。関節リウマチが関節などの滑膜に炎症をおこしてくるのが特徴的ですが、PsAは、脊椎関節炎というリウマチに属する疾患とされており、腱や靱帯などが骨に結合するところ(付着部)に炎症をおこしてくることが特徴的ですが、滑膜にも炎症をおこしてくることもあります。放っておくと関節が壊れていくこともあります。脊椎に症状が出てくることもあり(体軸性脊椎関節炎症状)、場合によっては強直性脊椎炎と間違われるほどの背骨の靭帯が硬くなっていくこともあります。また、指趾炎と言って、指趾がソーセージのように腫れてくることもあります。爪にも特徴的な症状(爪乾癬という爪の変形性病変)が出現することもあります。しかしながら、関節症状が関節リウマチとそっくりな場合もあります。治療法は薬物療法が中心となります。最近は、PsAの治療も関節リウマチと同様に進んできています。PsAと診断されても、それぞれの患者さんで病状が異なりますので、その状態に応じた診療となります。末梢の関節炎や付着部炎には従来型の抗リウマチ薬でもあるメトトレキサート(MTX)などが使われてきています。また、PsAに効果的な生物学的製剤がいくつか使用できるようになっています。関節リウマチにも効果的な薬剤もありますが、PsAに主として使われている薬剤もあります。以前は、TNFα阻害薬がよく使われてきましたが、関節症状や乾癬皮疹に効果をあげてきました。近年、IL-17AやIL-23という物質を抑える生物学的製剤も使われるようになってきました。これらは皮疹にしっかりとした効果があり、関節症状・付着部の炎症にも効果的と考えられます。さらに最近では、JAK阻害薬と呼ばれる薬剤で使用可能なものが登場してきており、関節症状の改善に期待されています。

(回答:大崎博史先生)