2021.12.21 Tue Q&A回答のページ

Q12

両上腕~肩、腰~股関節、膝に痛みが出現しリウマチ性多発筋痛症としてステロイド治療が始まり、最初は効果がありましたが、減量と共に悪化し、関節リウマチの治療が追加になっています。リウマチ性多発筋痛症から関節リウマチになることはあるのでしょうか?リウマチ性多発筋痛症と関節リウマチの違いは何ですか?

A

リウマチ性多発筋痛症 (PMR) は、両肩や臀部等の疼痛を主体とし、ステロイドが著効することが多い高齢者の原因不明の炎症性疾患で、近年その病態が、肩関節部の三角筋下滑液包炎や上腕二頭筋の腱鞘滑膜炎、肩甲上腕関節の滑膜炎、股関節の滑膜炎や転子部滑液包炎等であることがわかってきています。リウマチ因子や抗CCP抗体は通常陰性で、一部で側頭動脈炎 (巨細胞性動脈炎) を合併する等、関節リウマチとは異なる疾患であり、相互に移行しているように見えた場合も、実は最初から他方の疾患であったと考えられます。これはPMRの一部で関節リウマチで見られるような末梢関節炎を伴うものがあるために時に大関節炎を伴った関節リウマチとの区別が難しいことによるもので、特に高齢者ではPMRの頻度が高いため、PMRなのに関節リウマチと診断される例がおのずと増すことになります。また高齢発症関節リウマチでは多くの例で非高齢発症と区別できない小関節主体の臨床像を示す一方で、PMRと類似した関節リウマチの一群も紛れもなく存在し、そのようなケースの一部では、当初はPMRと診断され実際ステロイドが著効を示しますが、減量の過程で中小関節炎主体に再燃し関節リウマチの治療を加えることになる例があり、御質問の方がそれに当たるものと思われます。  

(回答:勝俣一晃先生)